9/30の備瀬での途中経過発表の際に、振付家のBoさんが来場いただいた方々に向けて、これまでの那覇・備瀬での作品制作の様子を伝えたテキストをご紹介します。
文:曹徳宝/ HUGH CHO
翻訳:緒方祐香
味付け:中西レモン
photo:高橋正和
今回の国際クリエイションにあたり、異なる文化の4人。つまり、産まれた国、言語、経験してきたことなど、それぞれのバックグラウンドが全く違う4人が集まり、沖縄という土地で初めて顔を合わせ作品作りが始まりました。
私は香港を拠点にコンテンポラリーの振付家・ダンサーとして活動しています。もう1名の香港からの参加アーティスト・ウェイさんは、京劇という確立された伝統の世界に生きています。一方、緒方さんは神話などをもとに新しい神楽を創作する活動に取り組んでいます。中西さんは、もともとは画家で、現在は庶民の芸能を訪ねるといった活動にとりくんでいるようなんですが・・・まだよくわかりません。
このような4人が集まってダンス作品の制作を行う上で、私達はその作業にどのような意義を見いだし、またそこに浮かび上がった問題をどのように共有できるのでしょう。様々な言語や芸能などの文化は歴史を振り返るまでもなく、その多くが人と人との出会いの中でより豊かになってきました。
たとえ小さくとも、そうして生まれてきた様々な文化に通じるような、その種とでも言うべきものを、あるいはその種を見いだすための道筋を私達の共同制作が探しだす一つの道のりになればと願っています。
最後に、私達がこれまでの作品制作の過程で長い時間を割き、最も大事にしてきていた事は『試し、そして話し合う』ことです。
それぞれの言語が違うので一つの事柄を喋るのにも、例えば広東語・英語・日本語という3つの言語を通して、一つの情報を共有するには日本人同士で喋る約3倍の時間がかかるといったことが起こっています。しかしその中で、ジェスチャーに始まり、スマートフォンの翻訳機能を駆使するなど、様々な方法でコミュニケーションを図っています。
そこには当然誤解も含まれているわけですが、それをも恐れず、このコミュニケーションのあり方にこそ、むしろ作品や制作の上での積極的な意義を見いだしたいと思っています。
振付けられた振りを踊るという行為ではなく、今回の作品制作は膨大な時間と気力と体力が必要ですが、むしろその事を楽しみながら、それぞれが日々試行錯誤しているところです。
本日は、クリエイションの途中段階を公開するこの機会においでいただき有難うござりまするぞ。